case study病例集

【ポメラニアンのアロペシアX】

ポメラニアンのアロペシアX

2023.12.27
Before
After

【症例】

ポメラニアン、11歳齢、去勢オス

【症状・経過】

当院を受診する2年ほど前からおしりの方から脱毛が始まり、徐々に背中にも拡大してきていました。かかりつけではサプリメントが処方されましたが、特に効果は見られませんでした。

写真では全体的に毛がごわついており、胸やお尻の毛が特に薄くなってきていることがわかります。

【診断】

アロペシアX

【治療】

今回の症例は、犬種や症状の分布からアロペシアXと診断しました。

本来アロペシアXと診断するためには、似たような症状を示すホルモン疾患やその他の脱毛症を検査によって除外する必要があります。ただ、今回は飼い主様から検査の同意が得られなかったため、外観と症状からアロペシアXと仮診断して、治療を開始することになりました。

治療プランはこちらです。

  • 内服:ホルモン調整剤2種類、ビタミン剤1種類
  • サプリメント:細胞の活性化を助けるサプリメント、必須脂肪酸のサプリメント
  • フード:市販のフードから高タンパク・高栄養のフードに変更
  • 自宅での入浴
  •     
  • 週1回のご自宅での炭酸泉入浴

治療開始後、2ヶ月で以下のような変化が見られました。

お悩みだったお尻や胸はしっかりと発毛し、体全体的に毛量が増加しています。

アロペシアXは一度発毛しても、しばらくして脱毛が起こるなど長期的な管理がとても難しい疾患です。治療を開始して数ヶ月で効果が出る子もいれば、1年以上かかって発毛が見られるようになる子もいます。

治療の開始時にしっかりとゴールを設定して、時間をかけて治療に臨むようにしましょう。

皮膚病の治療は「改善させる期間」と「状態を維持する期間」に分かれます。状態を維持する期間を長くできなければ、結局元の状態に戻ってしまいますから当院では治療効果や副作用、費用のバランスも考えて継続できる治療をご提案しています。

当院ではアロペシアXだけでなく、年間数百症例にのぼる様々な皮膚疾患を診察、診断しています。そのため、通常の治療で良くならない皮膚病でも違った角度から治療プランを立て直すこともできますので、慢性的なわんちゃん、猫ちゃんの皮膚病でお困りの飼い主様は、一度ご相談いただければと思います。

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