flowよくある皮膚病について

毛周期停止・アロペシアXってどんな病気?

Treatment for skin disease

毛周期停止は、若齢から発症する痒みを伴わない脱毛症です。これまでは原因不明とされてきましたが、特定の犬種に好発することから、遺伝的な影響があるのではないかと言われています。過去には「未去勢のポメラニアン」に起こる皮膚病と言われていたこともありましたが、現在では雌雄や犬種にかかわらず、症状が認められています。毛周期停止の症状として、首周りや太ももの裏側から脱毛が始まるとされています。この脱毛は頭部や四肢を除くほぼ全身に拡大し、左右対称性に進行していきます。皮膚に色素沈着が認められる場合もあります。被毛がないことによるドライスキンや、皮膚バリア機能の低下による膿皮症の併発を認めることもあります。

かかりやすい犬種

ポメラニアン、シベリアンハスキー、アラスカンマラミュート、トイプードル、パピヨンなど

毛周期停止・アロペシアXになる原因

原因については、長らく不明だったため「X」という名称がついていましたが、最近の研究により、ホルモンや特定の遺伝子が関与している可能性が示唆されています。ホルモン異常や遺伝的素因が毛周期の調節を乱し、毛髪の成長が停止し、脱毛が起こると考えられています。

  • 毛周期停止・アロペシアXの検査方法

    毛周期停止の診断には、痒みを伴わない他の脱毛症を検査で除外することが重要です。まず、皮膚科学検査(皮膚塗抹標本検査や皮膚掻爬検査など)を行い、寄生虫感染や皮膚炎を確認します。次に、血液検査と画像診断(X線や超音波検査)を用いて、内分泌疾患による脱毛症を除外します。これらの検査で特定の原因が見つからない場合、皮膚生検を行い、病理学検査を実施して、毛周期停止の診断が確定されます。

  • 毛周期停止・アロペシアXの治療方法

    毛周期停止の治療法は、外科的治療と内科的治療に分かれます。外科的治療では、避妊手術や去勢手術が行われることがあります。これらの手術は、ホルモンのバランスを整えることで毛周期を正常化させる効果が期待されています。ただし、すべての犬に効果があるわけではなく、個体差があります。 内科治療では、内服薬やサプリメントによる治療が一般的に行われています。メラトニンなどのホルモン補充療法が試みられることがありますが、効果は個体差が大きく、副作用も考慮する必要があります。サプリメントによる栄養補給や、皮膚の保湿・バリア機能の向上も重要な治療の一環です。 近年では、マイクロニードルによる皮膚の刺激や食事の変更、炭酸泉入浴、レーザー照射などの治療法が試みられており、発毛を促す効果が報告されています。ただし、これらの治療法も個体差があり、すべての犬に効果があるわけではありません。 アロペシアXの治療は症状が改善されるまで長期間続けることが一般的であり、症状が改善された後も再発のリスクがあるため、定期的なフォローアップが重要です。獣医師との連携を密にし、犬の状態を適切に把握して、最適な治療法を選択することが求められます。

症例集

  1. 01

    ポメラニアン

    4歳

    去勢オス

    ・症状

    2歳の頃から体の毛が全体的に薄くなってきた。他のホルモン治療でも使う内服薬とサプリメントの併用により、治療開始5ヶ月目から明らかに毛量が増え、もともとのフサフサな姿に戻ることができた。

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  2. 02

    ゴールデンレトリバー

    9歳

    オス

    ・症状

    比較的珍しいゴールデンレトリバーの症例。毛周期停止以外の脱毛症を検査により全て除外した上で、毛周期停止に特化したホルモン治療+ビタミン療法を行ったところ、治療後3ヶ月で発毛を得ることができた。

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