category of skin disease犬種・猫種別皮膚病について

猫の皮膚病

Skin disease by breed

猫の皮膚の特徴

猫によくみられるアレルギー性皮膚炎には以下の3つがあります。 1. ノミアレルギー性皮膚炎 2. 食物アレルギー 3. 非ノミ非食物アレルギー性皮膚炎(猫アトピー)

猫によくある皮膚病

  1. ノミアレルギー性皮膚炎

    原因と治療について

    このアレルギーはノミの唾液内の抗原に対する過敏反応により発症します。アレルギーは成立している猫では、少数のノミの寄生・刺咬でも全身に重度の皮膚症状を起こすことがあります。一方、アレルギーが成立していない猫では多数のノミに寄生されていても、たいした皮膚症状は起こしません。そのため、「ノミアレルギー性皮膚炎」と「ノミの寄生」は分けて考える必要があります。ノミアレルギー性皮膚炎の治療のポイントはとにかく、「ノミに刺されないこと」です。定期的にノミの駆虫を行い、ノミがいるところへは出さないようにしましょう。またノミから回避できても数週間はアレルギー反応が続くことがありますので、その時は痒み止めを併用することがあります。

  2. 食物アレルギー

    原因と治療について

    食物アレルギーは食べ物が原因で生じるアレルギー反応です。猫の食物アレルギーは皮膚だけでなく、呼吸器や消化器にも症状を示す疾患です。特に頭部や顔面に症状を示すことが多く、掻くことによりびらんや潰瘍、カサブタが形成されます。食物アレルギーの治療の基本は、アレルゲンとなっている食べ物を摂取させないことにあります。フードを選ぶ際にはこれまでに食べたことのない成分で作られているフードを選んであげることが重要です。

  3. 非ノミ非食物アレルギー性皮膚炎

    原因と治療について

    猫では犬アトピー性皮膚炎のように診断基準や定義が確立していないため、このように呼ばれることが多いです。いわゆる「猫アトピー」と言われたりします。感染や寄生虫、ノミや食事によるアレルギーを検査で丁寧に除外していき、診断を行います。治療はステロイドや免疫抑制剤を用いて痒みのコントロールを行いますが、犬と比べると用量が多くなりやすいです。

  4. 皮膚糸状菌症(白癬)

    皮膚糸状菌症は猫だけでなく、犬や人にもうつる「人獣共通感染症」です。非常に感染力が強く、環境中での生存力も高いため、動物の治療だけでなく環境の清掃を徹底的に行わないと再発を繰り返してしまいます。

    原因と治療について

    猫の皮膚糸状菌の起因菌のほとんどが、「マイクロスポラム属」の菌です。罹患動物や保菌動物との接触、土壌や屋内の汚染されたホコリや被毛などへの接触によって感染します。発症は年齢や毛の長さ、動物の免疫状態が関与しており、1歳以下の若い猫やペルシャ系の長毛種に好発します。また、ステロイドや免疫抑制剤の使用により免疫抑制状態にある猫でも注意が必要になります。 治療は抗真菌薬の内服による全身療法が一般的です。感染部位が一部であれば、ぬり薬で治療することも可能です。皮膚糸状菌は毛に感染して増殖しますので、感染範囲が広く長毛の場合には広範囲に毛刈りを行うことも感染拡大を防ぐために有効です。

  5. 猫の疥癬

    疥癬とはヒゼンダニの感染により発症する感染症です。同じヒゼンダニ科のダニが耳に寄生すると耳ダニ症と診断されます。頭部を中心に非常に重度の痒みを起こします。感染力が強く、同居の動物や人間にも伝播します。

    原因と治療について

    感染は基本的に接触感染です。すでに寄生されている動物との接触で感染します。主に感染を認めるのは、屋外で飼育されている猫やペットショップ・ブリーダーなど多頭飼育されている施設から引き取った猫です。治療はダニの駆虫薬を使用することです。注射薬を使用することができますが、近年ではスポット剤でも十分な駆虫効果が認められています。

  6. 蚊刺咬性過敏症

    蚊刺咬性過敏症は蚊に刺されることにより発症するアレルギー性疾患です。発症には季節性があり、通常は蚊がよく活動する春〜秋にかけてみられます。病変は耳介の先端や鼻先など毛が短く、蚊が吸血しやすい部分によく出ます。

    原因と治療について

    この疾患の一番大事なポイントはいかに蚊に刺されない環境を作ってあげられるかです。屋外飼育の猫であれば屋内飼育に変更することで、症状が改善することが多いです。また蚊取り線香など蚊を除去するような対策を取っていただくのも良いでしょう。環境改善を行っても症状の緩和が見られない場合は、ステロイドなどを用いて症状を抑えてあげる必要があります。

  7. 猫のアクネ(ざ瘡)

    猫のアクネは、年齢や品種に関係なく発生する皮膚疾患です。主な病変は顎のブツブツとして認識されることが多いですが、口唇にもできることがあります。ほとんどの症例は面皰(めんぽう)と呼ばれるブツブツのみが形成されますが、慢性化・悪化すると膿んでしまうこともあります。

    原因と治療について

    重症化する要因として、猫のグルーミングがうまくいっていない、皮脂のバランス、ストレス、ウイルス感染などが考えられます。症状が軽度であれば、無治療での経過観察でも問題ありません。重症化している場合は、ベビーオイルなどで清掃後、抗生剤や抗炎症剤のぬり薬を使用します。肥満の猫では二重あごのように皮膚と皮膚が擦れあう部分にもアクネができることがあるため、減量が必要となるケースもあります。

  8. 精神的な異常からくる脱毛症

    猫において精神的な異常で起こる脱毛症は過剰な舐め行動の結果として起こります。過剰な舐め行動は「身体疾患・身体的異常による舐め行動」と「ストレスなどによる心因性の舐め行動」に分類されます。

    原因と治療について

    身体的異常からくる舐め行動の原因として、肥満、膀胱炎、腎臓結石、関節炎、変形性関節症、甲状腺機能亢進症、便秘による疼痛や違和感などが挙げられます。これらが原因となり舐め行動が出ている場合は、肥満ならダイエット、関節炎ならお薬やサプリメントでのケアなどそれぞれに対応した治療が必要となります。心因性の舐め行動の原因となるようなストレスとして、環境的な要因と社会的な要因があると考えられています。猫にとっての快適な環境づくりのポイントは以下の5つです。 ・安心できる自分だけの「基地」を作ってあげること ・トイレ、フード、休憩場所などを生活環境内に複数箇所設置してあげる ・遊びや捕食行動の機会を与えてあげる ・過剰な干渉を避け、猫のペースでふれあいを持つ ・猫の嗅覚を尊重した環境を作る これらを満たした環境を作った上でまだ舐め行動が残る場合は、お薬やサプリメントを使って治療を行うことがあります。

猫の症例集

    • 8歳齢 

      避妊メス
    • ・病名

      皮膚糸状菌症

    • ・症状

      体のあちこちに脱毛があるとのことで来院。検査の結果、カビの一種である皮膚糸状菌の感染が判明した。発症の1ヶ月前に新しい子猫を迎え入れたとのことで、その子猫から感染した可能性が考えられた。また飼い主様にもカビの感染が確認された。

    • Before
      After
    • Before
      After
    • 5歳齢 

      去勢オス
    • ・病名

      心因性脱毛症

    • ・症状

      3歳になった頃から腹部や後肢を執拗に舐めるようになり、脱毛していた。問診により症状がで始めた直前に引っ越しがあり、ベッドやトイレの位置、数に変更があったことが判明した。家庭内の飼育環境の改善に加え、精神安定のサプリメントを併用することで舐める行動は減少した。

    • Before
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      After

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