flowよくある皮膚病について

犬ニキビダニ症ってどんな病気?

Treatment for skin disease

犬ニキビダニ症は、毛穴に生息するニキビダニ(デモデックス属)という寄生虫が異常増殖し、皮膚の炎症を引き起こす病気です。犬ニキビダニ症は、犬の皮膚の健康に大きな影響を与える疾患であり、獣医師による適切な診断と治療が必要です。 症状としては、患部の皮膚が赤く腫れ、かゆみが生じることが一般的です。また、毛穴が黒ずんで目立つようになり、脱毛や皮膚の変色が起こることもあります。犬ニキビダニ症は、局所性と全身性の2つのタイプがあり、局所性の場合は限定的な範囲で症状が現れるのに対し、全身性の場合は広範囲に症状が現れることが特徴です。

かかりやすい犬種

皮膚の免疫機能に依存するため、特に発症しやすい犬種は知られていません。

ニキビダニ症になる原因

ニキビダニは、通常は犬の皮膚上に存在し、健康な犬にも生息しています。生後48〜72時間ほどで母犬から子犬に移行し、その後犬の毛穴や皮脂腺に寄生して生活しています。健康な犬では、免疫システムがニキビダニの数を適切にコントロールし、病気を引き起こすことはありません。 しかし、何らかの理由で犬の免疫機能が低下すると、ニキビダニが制御不能なほど増殖し、犬ニキビダニ症を発症します。この過剰な増殖は、皮膚の炎症や皮膚感染を引き起こすことがあります。 若い犬の場合、皮膚免疫力が未発達であることが、ニキビダニの増殖に関与する主な要因となります。また、遺伝的要素や栄養不足、ストレスも犬ニキビダニ症の発症に影響を与えることが考えられます。 高齢犬では、内分泌疾患(例:クッシング症候群)、腫瘍性疾患(例:リンパ腫)、または免疫抑制疾患(例:自己免疫疾患や感染症)など、皮膚免疫力を低下させる基礎疾患が関与することが考えられます。これらの基礎疾患が存在する場合、犬の免疫システムは正常に機能せず、ニキビダニの増殖が抑えられなくなります。

  • ニキビダニ症の検査方法

    ニキビダニ症の診断は、病変部から毛を抜いて顕微鏡でニキビダニの存在を確認する毛検査や、皮膚を引っ掻いて角質を採取し、その中にいるニキビダニを探す皮膚掻爬検査が用いられます。また、2016年には、セロハンテープを皮膚に押し当てる方法でも毛髪検査や皮膚掻爬検査と同程度の検出率があることが報告されています。これにより、より簡便で非侵襲的な方法でニキビダニ症の診断が可能となっています。しかし、これらの検査結果だけでは、犬がニキビダニ症を発症しているかどうかの判断が難しい場合もあるため、患犬の病歴や臨床症状を総合的に評価して診断を行います。

  • ニキビダニ症の治療方法

    犬ニキビダニ症の治療方法には、薬物療法と非薬物療法の2つが主に用いられます。薬物療法では、近年まではイベルメクチンやミルベマイシンといったフィラリア予防薬にも使用される薬剤がニキビダニ治療のメインでした。現在では、イソオキサゾリン系と呼ばれるノミマダニ駆虫薬がニキビダニに対して非常に高い駆虫効果を示すことが証明されており、多くの場合でこちらの薬剤が治療に使用されるようになっています。また、ステロイドや抗ヒスタミン薬などが痒みを緩和するために処方されることもあります。 非薬物療法としては、犬の皮膚ケアが重要です。ニキビダニは毛穴の中で増殖するため、毛包の洗浄効果のあるシャンプーやマイクロバブルを用いることで、効果が期待できるバイいがあります。また、免疫力を向上させるために、栄養バランスの良い食事や適切な運動が必要です。 犬ニキビダニ症は、適切な治療を受けることで改善が見られることが多いですが、治療には時間がかかることが一般的です。犬のストレスを減らし、免疫力を維持・向上させることが、ニキビダニ症の予防や再発防止に重要です。犬の健康状態や生活環境に気を配り、適切なケアを行うことが大切です。 全身性犬ニキビダニ症の場合、潜在的な免疫抑制疾患や基礎疾患が存在することがあります。これらの疾患に対する適切な診断と治療が行われることで、犬ニキビダニ症の症状が改善されることが期待されます。

症例集

  1. 01

    雑種犬

    1歳

    去勢オス

    ・症状

    全身の赤みと非常に強い痒みが見られた。アレルギーを疑われステロイド剤が使用されていたが、皮膚科検査を行ったところ大量のニキビダニが検出された。駆虫薬に切り替えたところ、1ヶ月で症状は軽快した。

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  2. 02

    トイプードル

    10歳

    去勢オス

    ・症状

    体の数箇所に黒っぽいカサブタを伴う脱毛が見られた。皮膚科検査でニキビダニが大量に検出されたため、駆虫薬にて治療を行った。高齢からニキビダニ症を発症したため、全身の精査を実施したところ、基礎疾患として甲状腺機能低下症を発見できた。

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