category of skin disease犬種・猫種別皮膚病について
シーズーの皮膚病
Skin disease by breed
シーズーはチベットが原産の犬とペキニーズを掛け合わせて、現在の形が作出されたと考えられています。まるッとした顔立ちと温和でフレンドリーな性格が特徴です。
シーズーの皮膚の特徴
チベットや中国などの乾燥した気候に適応するよう、皮膚から豊富な皮脂が分泌されるのが特徴です。そのため、脂漏症に罹患することが多く、体臭やフケ、皮膚のベタつきなどが目立つことがあります。特に湿度が高くなる日本の夏には皮膚トラブルが発生しやすくなります。

シーズーによくある皮膚病
-
犬アトピー性皮膚炎
シーズーは柴犬やフレンチブルドッグと並んで、犬アトピー性皮膚炎の好発犬種として知られています。シーズーが犬アトピー性皮膚炎に罹患すると、もともとの体質からくる脂漏症を併発することが多く、その結果として重度のマラセチア皮膚炎につながっていきます。
原因と治療について
治療には皮脂を落として、皮膚の上の環境をきれいにしてあげる必要があります。ただし、犬アトピー性皮膚炎などのアレルギーを持つ犬では皮膚バリアが低下した状態なので、強力に皮脂を落としたり抗菌作用のあるシャンプーを使ってしまうと、皮膚に負担がかかってしまいます。アレルギーを持つシーズーには、皮脂の量や感染などの状況に応じて、シャンプーと保湿剤を使い分けていく必要があります。
-
マラセチア皮膚炎
マラセチアは皮膚の常在菌の一種で、皮脂をエサにして増える酵母菌です。皮脂の分泌が多く、皮膚がベタベタしているほどマラセチアにとっては増えやすい環境になります。マラセチアが分泌する脂肪分解酵素や皮脂の分解により生じた脂肪酸が皮膚に浸透し炎症を起こさせることで、マラセチア皮膚炎になります。
原因と治療について
マラセチア皮膚炎は生まれつき持つ脂漏体質やアレルギーによる皮膚バリア機能の低下、食事中の油の種類、内分泌疾患の関与などにより、マラセチアが増殖し悪化します。マラセチア皮膚炎の治療の基本はシャンプーや外用剤、内服薬を用いて、マラセチアの数を減らすことにあります。よくマラセチアを減らすことを目的に「マラセブシャンプー」が処方されているのを見ますが、このシャンプーの効果はマラセチアを減らしてくれるだけです。マラセチアが増える根本的な原因は皮脂ですから、皮脂の除去効果のある角質溶解シャンプーやクレンジングを使用して物理的にマラセチアを除去してしまう方が効率的でしょう。この場合、皮膚に必要な皮脂まで取り除いてしまう可能性がありますので、シャンプー後は必ず保湿を忘れないでください。
-
脂漏症
脂漏症とは、皮膚の上に分泌される皮脂が多すぎる、もしくは皮脂の構成成分のバランスが悪くなっている状態のことを言います。皮膚の若い細胞が作られてから成熟しフケとなって剥がれ落ちていくまでのサイクルをターンオーバーといい、健康な犬では約21日と考えられています。脂漏症になると、このターンオーバーにかかる時間が短縮することで大量のフケが出てくることになります。
原因と治療について
脂漏症の原因は生まれつき持っている体質や、アレルギー疾患、内分泌疾患、栄養バランスの悪いフードの給餌、間違ったスキンケアなどが挙げられます。脂漏症の治療の基本はスキンケアによる皮脂の除去です。皮脂の量が少ない場合は、角質溶解シャンプーと保湿剤を使ったケアが効果的です。皮脂の量が多くベタつきが強い時は、シャンプー前のクレンジング、マイクロバブルや硫黄を使った入浴などを組み合わせることで効率的に皮脂を落としていくことができます。また脂漏性皮膚炎になっているときは少量のステロイドを使うと、痒みだけでなくステロイドの効果で皮脂の分泌を抑えることもできるため、高い治療効果を期待できます。
シーズーの症例集
-
-
3歳齢
避妊メス -
・病名
犬アトピー性皮膚炎
-
・症状
1歳ごろから全身に痒みがあり、定期的にシャンプーをしていたが赤みと脱毛が広がってしまった。 シャンプー剤の変更と塗り薬を併用することで皮膚の状態を痒みや赤みのないところまで改善させることに成功した。
-
Before
After
-
Before
After
-
Before
After
-
-
-
8歳齢
避妊メス -
・病名
脂漏性皮膚炎
-
・症状
アポキルを使用しているが皮膚の症状が悪化しているため、当院に来院された。シーズーの脂漏性皮膚炎のような頑固なベタつきの場合は、内服に頼るのではなくクレンジングや角質調整シャンプーなどで皮脂のコントロールをすることで改善に導くことができる。
-
Before
After
-
Before
After
-
Before
After
-