category of skin disease犬種・猫種別皮膚病について

柴犬の皮膚病

Skin disease by breed

柴犬はかなり古い時代から日本人とともに生活してきた在来犬種です。「柴犬」として登録されていますが、実は地域ごとに毛色や性格などに特徴があります。猟犬や番犬として働いていたこともあり、頭がよく飼い主に対しては非常に忠実です。その反面、知らない人には警戒心が強く吠えることもあります。近年では国内だけでなく海外でもSHIBAとして知られ、人気の犬種となっています。

柴犬の皮膚の特徴

柴犬はもともと他の犬種と比べて、皮膚のバリア機能が低下しやすいです。これはアレルギー体質の子が多いという点と換毛が影響しています。柴犬は四季のある日本で暮らしてきたため、季節が大きく変化する春と秋に大幅な毛の生え変わりがあります。これが換毛です。換毛時には表面のトップコートよりも下に生えているアンダーコートが大量に抜けるため、ブラッシングを疎かにしてしまうと毛が絡み合い皮膚のコンディションが悪化する原因となります。

柴犬によくある皮膚病

  1. 食物アレルギー

    食物アレルギーは主に1歳未満もしくは7歳以上で好発するとされています。口まわり、眼の周り、耳、腰、肛門周囲など様々な場所に痒みと赤みが出てきます。食物アレルギーは痒みが強くなる傾向があり、他の皮膚病で用いる量の痒み止めを使っても十分に痒みのコントロールができないこともあります。

    原因と治療について

    食物アレルギーの原因はその名の通り、「食物」ですから食べているもの(特にタンパク源)を見直す必要があります。この時に大事なのはフードだけでなく自宅であげているおやつ(ささみや牛皮のジャーキーなど)、予防薬、デンタルガムまで口に入れるもの全てを見直しの候補に入れることです。これまでは、フードを変更する「除去食試験」は、犬であれば8週間のトライアル期間を設けることが推奨されていました。ところが、近年トライアル期間を13週間に延ばすことでより診断精度を高めることができると報告されています。

  2. 犬アトピー性皮膚炎

    柴犬の皮膚病といえば?犬アトピー性皮膚炎!というくらい診断することが多い皮膚病です。犬アトピー性皮膚炎は3歳までに発症することが多いと言われているアレルギー性の皮膚病です。若い頃は夏季に痒みが悪化することが多く、年齢を重ねるうちに夏以外の季節でも症状が見られることが多くなるケースがあります。眼、口、耳、首、脇、腹部、四肢など様々な場所に症状が出ます。

    原因と治療について

    犬アトピー性皮膚炎は体の外部から侵入する様々なアレルゲン刺激に体が過敏反応を起こす疾患です。花粉や雑草が原因となる子もいれば、家の中の空気中に存在するハウスダストマイト(ほこりなどの中にいる非常に小さいダニ)が原因となることもあります。また自宅内で喫煙する人のいる家庭では、アトピー性皮膚炎の発症率が高くなるといった報告もあります。これらのアレルゲンが体に侵入しやすい原因として、もともとの皮膚バリア機能の低さが関わっています。柴犬では皮膚のバリア機能の重要な役割を担うセラミドが皮膚の中に少ないこともアトピー性皮膚炎の発症要因の一つとして挙げられています。犬アトピー性皮膚炎はもともとの体質が発症と深く関係しているため、生涯にわたるケアが必要となります。治療のメインとなるのは、服やブラッシングによるアレルゲンの回避・除去、痒みを抑える炎症コントロール、二次感染の予防・治療、スキンケアによる皮膚バリア機能の回復・改善です。これらを全てできるのが理想なのですが、とても大変です。どこまで突っ込んだ治療をするかは飼い主様の状況やわんちゃんの性格を加味しつつ、決定する必要があります。

柴犬の症例集

    • 9歳齢 

      メス
    • ・病名

      犬アトピー性皮膚炎

    • ・症状

      これまでかかりつけではステロイドやアポキルの投薬を試したが、効果がなかった。眼や耳に症状が強く出ており、耳道内の汚れも重度だったため、徹底的な耳道洗浄に加えて皮膚の痒みを抑える免疫抑制剤を使用することで、数ヶ月でかなりの改善を見せた。

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      After
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      After
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      After
    • 11歳齢 

      避妊メス
    • ・病名

      食物アレルギー

    • ・症状

      数年前から顔や腹部を中心に痒みがあった。ステロイドなどの痒み止めで症状の改善が乏しかったことからシニア期に入ってからの食物アレルギーの発症を疑った。魚タンパクメインのフードに変更したところ、痒みを抑えることができた。

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