flowよくある皮膚病について

アレルギー性皮膚炎ってどんな病気?

Treatment for skin disease

アレルギー性皮膚炎は、犬や猫の皮膚に現れるアレルギー症状で、主に食物アレルギーとアトピー性皮膚炎があります。アレルギーは遺伝的な要因が関与し、特定の物質に対して体が過敏反応を示し、赤みや痒みなどの症状が引き起こされる疾患です。 アトピー性皮膚炎は、花粉やダニなどの環境アレルゲンが主な原因で、皮膚の炎症や痒みを引き起こします。一方、食物アレルギーは、摂取する食材によって、全身に痒みが生じます。特に、口元や肛門周辺に症状が出やすい特徴があります。食物アレルギーを持つ症例の約60%では、1日の排便回数が3回以上であることが報告されており、排便回数も診断の参考になります。

かかりやすい犬種

犬、シーズー、ブルドッグ、ボストンテリア、コッカースパニエル、パグ、ウェストハイランドホワイトテリア、ラブラドールレトリバー、ジャーマンシェパードなど

アレルギー性皮膚炎になる原因

アレルギー性皮膚炎の原因は、免疫システムが特定の物質(アレルゲン)に過敏に反応することで、皮膚の炎症や痒みが引き起こされることです。アレルギー性皮膚炎の原因は複数あり、以下に代表的なものを挙げます。

環境アレルゲン:
アトピー性皮膚炎は、環境アレルゲンによって引き起こされる典型的なアレルギー性皮膚炎です。犬が反応する環境アレルゲンには、花粉、ダニ、カビ、細菌、ハウスダスト、動物の毛やフケなどが含まれます。これらの物質が皮膚に接触することで、炎症や痒みが引き起こされることがあります。
食物アレルギー:
食物アレルギーは、犬が特定の食材に対して過敏反応を示すことで、皮膚や消化器系の症状を引き起こす状態です。一般的な食物アレルゲンには、鶏肉、牛肉、小麦、大豆、魚、卵などがあります。食物アレルギー性皮膚炎の症状は、口元や肛門周辺に痒みや赤みが現れることが特徴的です。
ペットの遺伝的要因:
アレルギー性皮膚炎は遺伝的要因も関与しており、特定の犬種がより高いリスクを持つことがあります。 ストレスや免疫システムの不調:ストレスは、犬の免疫システムに影響を与え、アレルギー性皮膚炎の発症や悪化につながることがあります。また、免疫システムの不調や他の健康上の問題も、アレルギー性皮膚炎の発症に影響を与えることがあります。犬の免疫システムが適切に機能していない場合、アレルゲンに対する過敏反応が増加し、皮膚の症状が悪化することがあります。
皮膚のバリア機能の低下:
犬の皮膚は、外部の刺激から体を守るバリア機能を果たしています。しかし、このバリア機能が低下すると、アレルゲンが皮膚に浸透しやすくなり、アレルギー性皮膚炎の症状が発症しやすくなります。皮膚のバリア機能の低下は、乾燥や紫外線、化学物質などの外部要因、さらには皮膚の自然な油分の不足や炎症などの内部要因によって引き起こされることがあります。
感染症:
アレルギー性皮膚炎がある犬は、皮膚のバリア機能が低下しているため、細菌や酵母の感染に対しても弱くなります。これらの感染がアレルギー性皮膚炎の症状をさらに悪化させることがあり、痒みや炎症が増加することで、皮膚のバリア機能がさらに低下し、悪循環が生じることがあります。

アレルギー性皮膚炎の原因は、これらの要因が複雑に絡み合って発症することが一般的です。犬のアレルギー性皮膚炎の管理や治療には、原因や犬の体質、症状の程度に応じて、適切な対策が必要です。

  • アレルギー性皮膚炎の検査方法

    アレルギー性皮膚炎の検査には以下のようなプロセスを用いています。 まず、詳細な病歴の取得と臨床症状の評価が行われます。犬の症状の始まり、進行、持続期間、季節性、家族歴、飼育環境などについて質問をします。これにより、アレルギー性皮膚炎の可能性があるかどうか、また他の皮膚病との鑑別診断が必要かどうかを判断します。 次に、皮膚の表面を観察し、症状の特徴や分布を評価します。アレルギー性皮膚炎では、特徴的な症状や皮膚の変化が見られることがあります。この観察により、他の皮膚病との鑑別診断が進められます。 必要に応じて、皮膚の細菌学的検査や真菌学的検査が行われます。これにより、皮膚感染症がアレルギー性皮膚炎の原因であるか、あるいは症状を悪化させている可能性を評価します。寄生虫の感染が疑われる場合、皮膚スクレーピング検査が行われます。また、自己免疫性皮膚炎の疑いがある場合は、皮膚生検が必要となることがあります。 食物アレルギーが疑われる場合、除去食試験が実施されます。犬にこれまで食べたことのない単一のタンパク質と炭水化物を含む食事を与え、症状の改善が見られるかどうかを確認します。その後、徐々に元の食事に戻し、症状が再発するかどうかを確認することで、食物アレルギーが確定されます。 アトピー性皮膚炎が疑われる場合、アレルゲン特異的IgE抗体検査(血液検査)を行う場合があります。これらの検査は、犬が特定のアレルゲンに対して過敏反応を示しているかどうかを評価するものです。ただし、これらの検査結果は診断の参考となるものであり、必ずしも症状とアレルゲンの関連性を確定するものではありません。これらの検査結果と臨床症状を総合的に評価して、アトピー性皮膚炎の診断を行います。

  • アレルギー性皮膚炎の治療方法

    食物アレルギーの治療は、原因となる成分を摂取しないようにすることが最も重要です。これにより、症状が改善されることが期待できます。 一方、アトピー性皮膚炎の治療は、内服薬や注射薬などの薬剤を用いて痒みをコントロールすることが中心となります。加えて、シャンプーや食事の変更などのスキンケアを行い、薬の使用量を減らすことを目指します。 また、免疫療法もアトピー性皮膚炎の治療法の一つであり、アレルゲンを少量ずつ投与して体の反応を緩和させることを試みます。免疫療法は、個々のアレルゲンに対する効果が異なるため、獣医師と相談しながら適切な治療法を選択することが重要です。

アレルギー性皮膚炎の予防

アレルギー性皮膚炎の予防には、適切な食事管理や環境整備が重要です。特に、食物アレルギーに対しては、アレルギーを引き起こす食材を避けることが最も効果的な方法です。また、アトピー性皮膚炎に対しては、住環境の改善や定期的なシャンプー、適切な保湿ケアが症状の緩和に役立ちます。また、ペットのストレスを減らすために、適切な運動やリラックスできる環境を整えることも重要です。具体的な予防策としては、以下のような方法があります。

食事管理:
アレルギーを引き起こす可能性のある食材を避け、消化しやすく栄養バランスの良いフードを与えることが重要です。また、新しい食材を試す際には、少量から始めて様子を見ることが望ましいです。
住環境の整備:
アレルゲンがたまりやすい場所を掃除し、空気清浄機を使用することで、アレルゲンの影響を最小限に抑えることができます。
定期的なシャンプー:
アレルゲンを洗い流すことで、皮膚炎の悪化を防ぐことができます。ただし、頻繁すぎるシャンプーは皮膚の乾燥を引き起こすことがあるため、適切な間隔で行うことが大切です。
保湿ケア:
皮膚のバリア機能を維持するために、適切な保湿ケアが必要です。ペット専用の保湿クリームやローションを使用し、乾燥が気になる部分に塗布することが効果的です。 ストレスの軽減: ストレスがアレルギー性皮膚炎の悪化を引き起こすことがあるため、ペットに適切な運動やリラックスできる環境を提供することが重要です。

症例集

  1. 01

    イタリアングレーハウンド

    8ヶ月

    去勢オス

    ・症状

    初診時には眼の周り、口周り、手足の先などが赤くなり、寝られないくらい掻いていた。食事の変更と内服薬を併用することで症状が改善した。その後は皮膚栄養価の高い食事と内服薬を調整しながら、痒みのない状態を維持している。

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  2. 02

    ジャーマンシェパードドッグ

    3歳

    避妊メス

    ・症状

    1歳ごろから全身の痒みがあり、他の皮膚科専門病院も受診されていた。大型犬であったが飼い主様が積極的に外用剤とシャンプーによるスキンケアを実施していただいたおかげで、治療開始3ヶ月でとてもきれいな体を取り戻すことができた。

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