flowよくある皮膚病について
脂漏性皮膚炎・マラセチア皮膚炎ってどんな病気？
Treatment for skin disease
皮膚にベタつきがあり、痒みを伴う皮膚炎を脂漏性皮膚炎と言います。ベタつきの原因は皮膚から分泌される皮脂です。マラセチアは皮脂をエサにして増える酵母菌ですので、皮膚がベタベタしているほどマラセチアにとっては増えやすい環境になります。マラセチアが分泌する脂肪分解酵素や皮脂の分解により生じた脂肪酸が皮膚に浸透し炎症を起こさせることで、マラセチア皮膚炎になります。
かかりやすい犬種
アメリカンコッカースパニエル、ウェストハイランドホワイトテリア、ダックスフンド、ビーグル、シーズー、ラブラドールレトリバーなど近年の日本ではトイプードル、チワワ、マルチーズ、柴犬、フレンチブルドッグ、パグなどでも見られます。
脂漏性皮膚炎・マラセチア皮膚炎になる原因
上記のような犬種は、生まれつき皮脂分泌が多い体質を持ちやすく、皮膚炎やマラセチアの増殖を起こしやすいと言われています。若いうちから皮膚症状が表れることがあり、加齢とともに悪化する傾向があります。このような犬種は、外耳炎など皮膚以外の病気も発症する可能性があります。 後天的に脂漏性皮膚炎を起こす原因として、アレルギー性疾患や内分泌疾患が挙げられます。アトピー性皮膚炎や食物アレルギーが皮脂分泌に影響を与え、脂漏性皮膚炎を引き起こすことがあります。また、ホルモンバランスの乱れが皮脂の分泌量や質に影響を与えることもあります。ホルモン異常による皮膚症状は、内分泌疾患のある犬に見られることが多いです。
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脂漏性皮膚炎・マラセチア皮膚炎の検査方法
脂漏性皮膚炎の検査は主に皮膚表面の細胞を採取して、行います。脂漏性皮膚炎の場合、未熟な角質細胞が皮膚表面まで出てくることが多いため、その細胞を検出することで診断していきます。またマラセチア皮膚炎も同様に皮膚表面のマラセチアの菌数を測定することで、診断が可能です。
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脂漏性皮膚炎・マラセチア皮膚炎の治療方法
脂漏性皮膚炎をコントロールするポイントは、皮膚の清潔を保ち、皮脂量を適切にコントロールすることです。これには、動物病院から指定されたシャンプーやコンディショナーを使用し、定期的にバスタイムを設けることが重要です。また、食事による栄養バランスの調整や、適度な運動も皮膚の健康に寄与します。 マラセチアは皮脂を餌にして増殖するため、適切なスキンケアができていれば、マラセチアの数は自然に減っていきます。ただし、皮膚の炎症が強い場合には、内服薬や塗り薬の併用が推奨されています。スキンケアで皮膚のコンディションが改善している途中でも、皮膚の中の炎症はすぐには引かないため、痒みが残ってしまうことがあるからです。 長期間、脂漏性皮膚炎にかかっていると皮膚がゴワゴワになり非常に硬く厚い状態になります。このような皮膚にはステロイド剤の使用が非常に有効です。ステロイドと言うと嫌なイメージを持たれる方が多いですが、計画的に内服とぬり薬を併用することで副作用を抑えつつ、皮膚の治療を行うことができます。 スキンケアだけでマラセチアの量がコントロールできない場合は、内服を併用することができます。マラセチアに対する抗真菌薬は通常1日1回の投薬が基本ですが、週2回〜3回の投薬で1日1回の投薬と同等の効果を得ることができる「パルス療法」も提案されています。この方法を行う場合は、動物病院の先生と相談しながら、犬の状態に応じて変更してください。
症例集
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01
ミニチュア・ダックスフンド
15歳
去勢オス
・症状
10歳を過ぎた頃から痒みや脱毛などの症状が出てきた。検査では甲状腺機能の低下が見られたため、ホルモン治療を行い、並行してシャンプーによるスキンケアを実施した。また最初は体が痩せており栄養状態が悪かったため、食事も皮膚栄養価の高いものに変更した。
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After
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Before
After
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02
ポメラニアン
11歳
去勢オス
・症状
6歳前後でふけや脱毛が目立つようになり、出血するほど掻くこともある。当院来院後は内服薬で全身の痒みをコントロールするとともに、徹底的なスキンケアを行った。しっかり生え、フケの量も減り、快適な生活が送れるようになった。
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