flowよくある皮膚病について

膿皮症ってどんな病気?

Treatment for skin disease

犬の膿皮症は、皮膚の細菌感染が原因となる皮膚炎です。ブドウ球菌によって引き起こされますが、緑膿菌や大腸菌も原因となることがあります。正常な皮膚表面にも存在するこれらの細菌は、皮膚のバリア機能の低下などの要因により、感染を引き起こします。犬の皮膚は人間に比べて薄く、細胞間脂質が少なく、分泌腺が発達しているため、膿皮症の発生頻度が高いとされています。また、犬の皮膚はpHがアルカリ性に傾きやすいことも、膿皮症が発生しやすい環境を生み出しています。

かかりやすい犬種

トイプードル、ミニチュアダックスフンド、フレンチブルドッグ、ミニチュアシュナウザー、ゴールデンレトリバーなど

膿皮症になる原因

膿皮症は、細菌と皮膚バリア機能のバランスが崩れると発症します。その要因として、犬種、年齢、アレルギー、ホルモン異常、腫瘍、薬剤の使用、生活環境、栄養状態、不適切なスキンケアなどが挙げられます。特定の犬種では、遺伝的な素因や特徴的な皮膚構造により、膿皮症が発生しやすいことが知られています。また、加齢に伴う皮膚の変化や、アレルギーやホルモン異常による皮膚の炎症が膿皮症を誘発することもあります。さらに、ステロイドや免疫抑制剤、抗がん剤などの薬剤使用による副作用や、高温多湿な生活環境、栄養状態の悪化、間違ったスキンケア(例:過剰なブラッシング)なども、膿皮症の発症に影響を与えることがあります。

  • 膿皮症の検査方法

    膿皮症の検査・診断には、皮膚の細菌増殖の確認が必要となります。細菌が見つかった場合は、抗生剤感受性試験が必要な場合もあります。抗生剤感受性試験は、過去半年以内に抗生剤の使用歴がある場合に行われ、どの抗生剤が効果的であるか、どれぐらい効果があるかを調べる検査です。また、膿皮症と似た症状を示す他の皮膚病の除外診断も重要であり、皮膚表面の細胞検査、毛を抜く検査、皮膚を引っ掻く検査などを行います。

  • 膿皮症の治療方法

    犬の膿皮症の治療方法は、主に①抗生物質による治療②消毒薬による治療③シャンプーによる薬浴治療に分かれます。抗生物質による治療は、広範囲に湿疹が出現している場合に推奨され、通常3〜4週間の内服が行われます。症状が消失した後も、さらに1週間の投与が推奨されています。 消毒薬による治療は、湿疹が限局した範囲にある場合や、耐性菌が出現している時に適しています。特に、毛の長い犬種では、薬剤が皮膚に十分に浸透するために毛刈りが行われることもあります。 シャンプーによる薬浴治療は、薬用シャンプー、オゾンバブル、炭酸泉などを組み合わせて週2〜3回の洗浄を行う方法です。これらのシャンプーや薬浴は、細菌の繁殖を抑えるだけでなく、皮膚のバリア機能を改善し、炎症を鎮める効果もあります。 さらに、免疫力を高めるサプリメントや、皮膚の健康に良い食事や生活習慣の改善も、膿皮症の治療や再発予防に役立ちます。犬の皮膚の清潔を保ち、乾燥を防ぐために定期的なブラッシングやシャンプーが重要ですが、過剰なスキンケアは逆に皮膚のバリア機能を損なうことがあるため、適度なケアが必要です。 また、犬の食事に関しては良質なタンパク質、必須脂肪酸、ビタミン、ミネラルなど、皮膚の健康に必要な栄養素をバランスよく摂取させることが重要です。適切な体重を維持することも、皮膚のバリア機能を保つ上で役立ちます。 生活環境の改善には、適切な湿度の維持や換気、ストレスの軽減が含まれます。高温多湿の環境は細菌の繁殖を助けるため、室内の湿度をコントロールし、適度な換気を行うことが望ましいです。また、犬に適切な運動やリラックスできる環境を提供することで、ストレスを軽減させることができます。ストレスは免疫力の低下を招くことがあり、結果的に皮膚病の発症リスクが高まるため、犬のストレスを軽減することは非常に重要です。

症例集

  1. 01

    ミニチュア・ピンシャー

    6歳

    避妊メス

    ・症状

    2歳ごろから夏〜冬にかけて、全身の脱毛と痒みを認めるようになった。かかりつけでは、毎回抗生剤を処方され内服すると症状は改善するものの、薬がなくなると再発を繰り返していた。当院では食事の変更とシャンプーを用いることで再発の頻度を減らすことができた。

    • Before
      After
    • Before
      After
    • Before
      After
    • Before
      After
  2. 02

    チワワ

    11歳

    メス

    ・症状

    全身の激しい痒みを主訴に来院された。治療のため、毛刈りをしたところ背中全体に感染・炎症が広がっていた。広範囲に症状が見られたため、抗生剤の内服で症状を完治させた後、再発予防として、食事療法、定期的な炭酸泉入浴を行っている。

    • Before
      After
    • Before
      After
    • Before
      After
    • Before
      After
    • Before
      After
    • Before
      After

TOP

初診の来院前に必ずご確認ください