category of skin disease犬種・猫種別皮膚病について
チワワの皮膚病
Skin disease by breed
チワワは世界最小の犬と言われるほど小さい体に、大きな目、短い口、ピンと立った耳が特徴です。頭や額の形状から「アップルヘッド」や「アップルドーム」と言われることもあります。とても活発な性格で、自分より大きな犬にも強気で吠えることもあります。短毛のスムースコートチワワと長毛のロングコートチワワがいます。
チワワの皮膚の特徴
チワワは脂腺の増生を起こしやすい犬種です。そのため、他の犬種と比べるとフケが出やすかったり、被毛がベタついたりする子が多いです。ロングコートチワワの場合は、被毛の絡みやもつれでも皮膚にストレスがかかり、皮膚病の原因となることがあります。

チワワによくある皮膚病
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脂漏症
脂漏症とは、皮膚の上に分泌される皮脂が多い、もしくは皮脂の構成成分のバランスが悪くなっている状態のことを言います。皮膚の若い細胞が作られてから成熟しフケとなって剥がれ落ちていくまでのサイクルをターンオーバーといい、健康な犬では約21日と考えられています。脂漏症になると、このターンオーバーにかかる時間が短縮することで大量のフケが出てくることになります。
原因と治療について
チワワでよく見る脂漏症は生まれつきの体質である「本態性脂漏症・原発性脂漏症」が非常に多いです。これは決まった基礎疾患があるわけではわく、先天的な性質のため適切なシャンプーや食事でのスキンケアを行うことが大切です。脂漏がひどく痒みが強い場合には、痒みの軽減と脂腺からの皮脂分泌を抑制することを目的にステロイドを使用することがあります。
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犬ニキビダニ症
皮膚に常在するニキビダニ(毛包虫)が異常に増殖する皮膚病です。症状は皮膚の痒み・赤みを伴う脱毛や、重度になると全身にカサブタを形成することもあります。
原因と治療について
若齢時に発生する原因は皮膚の免疫が十分にできていないことやアレルギー体質などが関わっています。また、高齢になってからの発症では内分泌疾患や腫瘍性疾患など皮膚免疫を落とすような疾患が関わっていると考えます。治療はどちらの場合でも駆虫薬を用います。従来ではイベルメクチンやドラメクチンといった寄生虫駆除薬を用いてきましたが、近年発売されているイソオキサゾリン系のノミ・マダニ予防薬がニキビダニにも非常に高い駆虫効果を発揮することがわかってきました。そのため、犬ニキビダニ症の治療でも予防薬を使用することが多くなっています。
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淡色被毛脱毛症(カラーダイリューション)
淡色被毛脱毛症はブルーやフォーンなどの淡い毛色の部分のみが脱毛していく皮膚疾患です。
原因と治療について
原因ははっきりと特定されていませんが発生する犬種や毛色に特徴があるため、遺伝的な関与が強く疑われています。現在は効果のある治療法は報告されていません。毛がないことによる紫外線の暴露量が増え、皮膚バリア機能の低下が懸念されますので、外出時には服を着せてあげるなどのケアが必要です。また、皮膚は非常に弱くなりますので、シャンプーをする際には直接皮膚に触れず泡で洗うなどの注意をすべきです。
チワワの症例集
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5歳齢
避妊メス -
・病名
脂漏性皮膚炎
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・症状
背中の重度の痒みと脱毛があり、市販のシャンプーで洗浄していたが効果がなかったため、来院された。このタイプはベタつきを取り除くクレンジングと皮脂をコントロールするシャンプーでのスキンケア、短期的なステロイドの投与により早期に改善させることができる。
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Before
After
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Before
After
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Before
After
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2歳齢
去勢オス -
・病名
犬ニキビダニ症
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・症状
四肢を中心とする全身に痒みが出ていたため、ステロイドを投与されていたが改善がないため来院された。皮膚検査の結果、大量のニキビダニが増殖していることが判明。駆虫薬を使用することにより、皮膚の症状は改善した。
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Before
After
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Before
After
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Before
After
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3歳齢
去勢オス -
・病名
淡色被毛脱毛症
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・症状
淡色被毛脱毛症はブルーやフォーンといった淡い色の毛色を持った犬に起こる珍しい遺伝性の脱毛症。根本的な治療法は解明されていないが、外的な刺激により毛が折れやすいため、服を着せたり優しくシャンプーするなどのケアが必要となる。
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