case study病例集

【ペキニーズの膿皮症】

ペキニーズの膿皮症

2023.12.26
Before
After

【症例】

ペキニーズ、12歳齢、オス

【症状・経過】

当院を受診される1年半ほど前から背中に赤みや脱毛が出てくるようになった。かかりつけでは抗生剤と痒み止めが処方されていたが、改善することはなかった。

アレルギーを疑われ、アレルギー検査を実施したが特に手掛かりになる結果は得られなかった。

写真では背中の広範囲や体の両側、腰の方まで脱毛や大量のフケがついていることがわかります。

【診断】

膿皮症

甲状腺機能低下症

【治療】

今回の症例は症状の発生時期やこれまでの経過から、皮膚のボロボロの原因として膿皮症と診断しました。

膿皮症は若齢と高齢で発症する原因が異なります。今回のように高齢から発症し、なかなか治療がうまくいかないケースでは、ホルモン異常や腫瘍など体の免疫バランスを崩すような疾患が隠れているかもしれません。

今回は初診時に血液検査や超音波検査を行い、甲状腺機能低下症であることがわかりました。甲状腺機能低下症は基本的に生涯にわたる治療が必要となります。

治療プランはこちらです。

  • 内服:甲状腺ホルモン剤
  • スキンケア
  • インナーケア:必須脂肪酸サプリメント
  • アウターケア:1日2回の保湿
  •     
  • 自宅での入浴
  • 週1回のシャンプーと保湿入浴

治療開始後、6ヶ月で以下のような変化が見られました。

全身の毛が綺麗に生えそろい、サラサラで光沢のある毛が再生しています。今回の甲状腺機能低下症のようにホルモン疾患が根本原因となっている場合は、皮膚に治療効果が現れるまでに3ヶ月〜半年ほど時間がかかることが多いです。

膿皮症の再発を繰り返す場合は、根底にある病気をなんとかしないとうまく治療ができません。様々な疾患が再発原因となりますので、その判断には経験と知識が必要になります。

皮膚病の治療は「改善させる期間」と「状態を維持する期間」に分かれます。状態を維持する期間を長くできなければ、結局元の状態に戻ってしまいますから当院では治療効果や副作用、費用のバランスも考えて継続できる治療をご提案しています。

当院では膿皮症だけでなく、年間数百症例にのぼる様々な皮膚疾患を診察、診断しています。そのため、通常の治療で良くならない皮膚病でも違った角度から治療プランを立て直すこともできますので、慢性的なわんちゃん、猫ちゃんの皮膚病でお困りの飼い主様は、一度ご相談いただければと思います。

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