case study病例集

【トイプードルの栄養性脱毛症】

トイプードルの栄養性脱毛症

2023.4.20
Before
After

【症例】

トイプードル、7歳齢、去勢オス

【症状・経過】

当院を受診する3ヶ月ほど前からお腹に湿疹ができていて、痒みがあった。かかりつけの病院ではヨード系のシャンプーが処方された。
また当院を受診する1ヶ月前に実施した健康診断において肝臓の数値が上昇しており、フードを肝臓サポートに変更されていた。

写真では、体の左右や背中、お腹の毛が薄くなり、毛並みも悪くなっています。お腹には剥がれたようなフケも見られます。

【診断】

栄養性脱毛症

【治療】

今回の症例は使用しているシャンプーやフード、経過などからスキンケアの間違いとフードの栄養不足による脱毛症と診断しました。

おそらくヨード系シャンプーを使うようになったきっかけは、膿皮症だったのではないかと推測しています。ヨード系シャンプーは過去に膿皮症に使われていたことがありますが、皮膚への刺激性が非常に強いため、当院では使用していません。
それに加えて、フードが肝臓サポートに変更されていたこともポイントです。肝臓サポートは肝不全など肝臓の機能が極端に低下した子に使うべきフードで、タンパク質が制限されています。皮膚の角質や被毛の材料はアミノ酸なので、タンパク質が制限されてしまっては当然皮膚のコンディションも悪化してしまいます。

当院ではシャンプーを栄養成分の入ったものに変更し、毎日の保湿も併用していただきました。その上でフードは以前のものに戻していただくようにしました。

治療開始後、2ヶ月で以下のような変化が見られました。

毛が薄くなっていたところからはしっかり毛が生えてきており、お腹のフケも目立たなくなりました。
シャンプーとフードの変更だけでここまで発毛や被毛のコンディションが改善した例を見るのは初めてで、改めて皮膚への栄養供給が重要であると認識できた症例でした。
皮膚病の治療は「改善させる期間」と「状態を維持する期間」に分かれます。状態を維持する期間を長くできなければ、結局元の状態に戻ってしまいますから治療効果や副作用、費用のバランスも考えて継続できる治療をご提案しています。
当院では栄養性脱毛症だけでなく、年間数百症例にのぼる様々な皮膚疾患を診察、診断しています。そのため、通常の治療で良くならない皮膚病でも違った角度から治療プランを立て直すこともできますので、慢性的なわんちゃん、猫ちゃんの皮膚病でお困りの飼い主様は、一度ご相談いただければと思います。

TOP

初診の来院前に必ずご確認ください