case study病例集

【シーズーの甲状腺機能低下症を基礎疾患とする犬ニキビダニ症】

シーズーの甲状腺機能低下症を基礎疾患とする犬ニキビダニ症

2022.9.2
Before
After

【症例】

シーズー、8歳齢、去勢オス

【症状・経過】

幼少期からマラセチアの増殖があり、皮膚の症状が悪化するたびにかかりつけにて内服を処方してもらっていた。

当院を受診する半年前から右後肢に厚いカサブタができるようになった。抗生剤と痒み止めの内服で治療を行うも改善は見られなかった。

その後、別の病院に転院するもカサブタが急速に大きくなり、周囲の皮膚が黒ずんできてしまったため、当院を受診された。

写真では右太ももの外側に出血を伴うカサブタができています。また背中やお腹にも重度の皮膚炎を起こしていることがわかります。

【診断】

甲状腺機能低下症を基礎疾患とする犬ニキビダニ症

【治療】

今回の皮膚の痒みの原因となっていたのは全身性にニキビダニが増殖したことによる皮膚炎です。これほど症状が重度となるとしっかり駆虫をしていかないと症状は改善しません。

また高齢から急にニキビダニ症になった場合は、内分泌疾患や腫瘍性疾患などの基礎疾患を精査する必要があります。

今回は検査の結果、甲状腺機能低下症を発症していることがわかりましたのでそちらの治療も同時に行っていきました。

治療開始後、3ヶ月経過した時の写真がこちらです。

太ももについていた巨大なカサブタは取れて、皮膚が再生してきています。しかしながら、今回ほど大きく深くまで炎症が波及し皮膚にダメージが入ってしまうと、毛包の構造自体が破壊されてしまうため、毛の再生は期待できません。

犬ニキビダニ症は適切な駆虫薬を用いることで早期に治療が可能な疾患です。また、高齢になってから症状が悪化した場合は、悪化した原因を探索してから治療を変更する必要があります。

当院では犬ニキビダニ症、甲状腺機能低下症だけでなく、年間数百症例にのぼる様々な皮膚疾患を診察、診断しています。そのため、通常の治療で良くならない皮膚病でも違った角度から治療プランを立て直すこともできますので、慢性的なわんちゃん、猫ちゃんの皮膚病でお困りの飼い主様は、一度ご相談いただければと思います。

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