トイプードルの甲状腺機能低下症による脂漏性皮膚炎とそれに伴う全身性の膿皮症
2022.9.3

【症例】
トイプードル、9歳齢、避妊メス
【症状・経過】
生後1歳未満から皮膚炎があり、治療していた。インタードッグ、アレルギー検査に基づく免疫療法・減感作療法を行い、一時的に症状が緩和していたが年を取るごとに治療の効果が薄れていっていた。
当院を受診する3ヶ月ほど前から全身にカサブタができて、四肢やお腹の毛は重度に脱毛していた。
写真では四肢の脱毛やふけ、腹部のカサブタが目立っています。




【診断】
甲状腺機能低下症による脂漏性皮膚炎とそれに伴う全身性の膿皮症
【治療】
今回は検査の結果、甲状腺機能低下症が基礎になっている可能性が高いことがわかりましたので、ホルモン補充の治療を行いました。
全身のフケやカサブタ、皮脂が重度だったため、クレンジングや入浴、シャンプー、日々の保湿なども実施していただくことになりました。
また脱毛が目立つ部位の中でも特に皮膚の肥厚が重度だった部分には、塗り薬も併用していただきました。
治療開始後、3ヶ月経過した時の写真がこちらです。




全身の毛が生えてきており、ふけやカサブタがなくなってきていることがお分かりいただけるかと思います。
甲状腺機能低下症を基礎とする皮膚疾患の場合、ホルモン治療だけで維持ができることは少なく、皮膚のケアも並行して行っていく必要がある場合がほとんどです。
今回ご紹介したワンちゃんもお薬やシャンプーをその都度見直しながら、状態を維持できるようにしています。