case study病例集

【スタンダードプードルの脂腺炎】

スタンダードプードルの脂腺炎

2023.4.20
Before
After

【症例】

スタンダードプードル、3歳齢、去勢オス

【症状・経過】

生後2歳ごろから背中や腰に脱毛が見られるようになった。かかりつけの病院では抗生剤や亜鉛のサプリメントが処方され、一時的に改善したことがあったが当院を受診する半年ほど前から、全身に脱毛が拡大してきた。
毛艶がかなり悪化し、シャンプーしてもすぐにバサバサになってしまう。

写真では、特に四肢やお尻の毛がなくなり、大量のフケがついています。またプードルの特徴であるふわふわの毛が見られず、光沢のない状態になっています。

【診断】

脂腺炎

【治療】

今回の症例は症状と当院での検査結果から脂腺炎と診断しました。

脂腺炎は自分の免疫細胞により皮脂腺が攻撃されることによって、皮脂腺が破壊され皮脂の分泌が減少してしまう疾患です。
国内では秋田犬、サモエド、スタンダードプードル、トイプードルなどでよく見られます。
犬種や症状からある程度疾患を予想することはできますが、確定診断には病理検査が必要です。今回の症例でも犬種と非常に厚いフケが付着していたことから、視診の段階で脂腺炎を疑いましたが、確定診断をつけるために病理検査を実施させていただきました。

結果としてはやはり「脂腺炎」でした。

今回は、脂腺炎の中でも皮脂腺がほぼ消失してしまっているというくらい、病態が進行しており投薬したとしても改善までに長期間がかかることが予想されました。

治療開始後、1年で以下のような変化が見られました。

全身の毛量が増え、スタンダードプードルらしいふわふわな感じに戻ってきていることがお分かりいただけるかと思います。皮脂腺の状態によっては、今回のように年単位で時間がかかるケースもあります。
今回は脂腺炎の治療として、免疫抑制剤を使用していますがそれ以外にも皮膚のケアとしてシャンプーと脂肪酸のスポット剤も併用していただいています。お薬だけで状態が維持できる子もいますが、外からのケアを加えてあげた方がより良いコンディションをキープできることが多いです。

皮膚病の治療は「改善させる期間」と「状態を維持する期間」に分かれます。状態を維持する期間を長くできなければ、結局元の状態に戻ってしまいますから治療効果や副作用、費用のバランスも考えて継続できる治療をご提案しています。
当院では脂腺炎だけでなく、年間数百症例にのぼる様々な皮膚疾患を診察、診断しています。そのため、通常の治療で良くならない皮膚病でも違った角度から治療プランを立て直すこともできますので、慢性的なわんちゃん、猫ちゃんの皮膚病でお困りの飼い主様は、一度ご相談いただければと思います。

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