case study病例集

【柴犬の犬アトピー性皮膚炎】

柴犬の犬アトピー性皮膚炎

2023.3.11
Before
After

【症例】

柴犬、13歳齢、避妊メス

【症状・経過】

生後5歳ごろから耳を痒がり、病院へ通うようになった。
治療初期はステロイドを処方されていたが副作用が強く出てしまい、投薬を断念された。
その後は病院へ行ってもステロイドの投薬を勧められるだけで他の治療提案をしてもらえなかったため、通院はしなくなった。以降はご自宅で耳の洗浄のみを行っていた。

写真では顔の痒みのせいで目の周りや耳は大きく脱毛しており、手足の先端や脇にも脱毛と皮膚の色素変化が見られます。

【診断】

犬アトピー性皮膚炎

【治療】

今回の症例のように、顔、脇、腹部、四肢に症状が出るのは犬アトピー性皮膚炎で非常によく見られる典型的な症状です。
犬アトピー性皮膚炎の場合、初期は症状が軽いことが多いのでステロイドの投薬でなんとなく症状をコントロールできることが多いです。しかし、年齢とともに悪化していく傾向の症例が多いため、症状が悪化してきてもステロイドだけでなんとかしようとすると今回のように副作用だけで強く出てしまう結果となります。
それを防ぐためにはお薬だけではなく、サプリメントやシャンプー、保湿剤といったお薬の量を減らすための処置が必要です。

今回は飼い主様がステロイドに対して強い拒否感をお持ちだったため、痒み止めにはアポキルを選択しました。また耳の炎症がかなり重度で耳の穴がほとんど塞がってしまった状態だったため、耳の洗浄も徹底的に行いました。

治療開始後、3ヶ月で以下のような変化が見られました。

耳の洗浄をしっかり行ったことで顔の痒みが激減し、普通の柴犬と変わらないくらいまで顔の様子は改善しています。またご自宅でシャンプーを行ってもらった結果、脇や四肢のベタつきなども消え、きれいな毛が生えてきています。
ステロイドは飼い主様の話を聞くと第一に聞こえるのは、副作用に対する懸念です。確かにステロイドは使用しないならその方がいいですし副作用を気にする必要もありません。ですが動物医療でステロイド以外の投薬に頼るということはその分、治療費が高額になりやすくなります。皮膚病の多くは、この治療費が生涯にわたってかかってくるため、その辺りの費用負担に全く問題がない方がいれば、そうでない方もいらっしゃいます。
皮膚病の治療は「改善させる期間」と「状態を維持する期間」に分かれます。状態を維持する期間を長くできなければ、結局元の状態に戻ってしまいますから治療効果や副作用、費用のバランスも考えて継続できる治療をご提案しています。
当院では犬アトピー皮膚炎だけでなく、年間数百症例にのぼる様々な皮膚疾患を診察、診断しています。そのため、通常の治療で良くならない皮膚病でも違った角度から治療プランを立て直すこともできますので、慢性的なわんちゃん、猫ちゃんの皮膚病でお困りの飼い主様は、一度ご相談いただければと思います。

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