チワワの膿皮症
2023.3.9【症例】
チワワ、8歳齢、去勢オス
【症状・経過】
もともと体のフケが多く、次第に体重が減ってきていた。
当院を受診する1ヶ月前から背中の皮膚がボロボロと剥がれてきていた。かゆみがあったため、かかりつけではアポキルが処方されたが症状の改善は見られなかった。
写真では背中を中心に脱毛が広がっているのがわかりますね。
【診断】
膿皮症
【治療】
今回はぱっと見は脱毛症ですが、よ〜く見てみると毛穴に一致した非常に小さい赤いブツブツを見つけることができました。これは膿皮症や皮膚糸状菌症、ニキビダニ症などでよく見られる所見です。
皮膚検査の結果、大量のブドウ球菌が増殖し、それを白血球が食べている様子も観察することができました。
治療を開始して3ヶ月後にはご覧のような姿に戻りました。
今回のわんちゃんは非常に凶暴な性格のため、ご自宅でのシャンプーや塗り薬でのスキンケアはほとんど不可能な状態でした。そのため、ご自宅では内服薬による抗菌治療を行っていただき、院内にて薬浴を実施させていただきました。
治療後はきれいに毛が生え揃い、痒みも全くなくなりました。膿皮症が改善してもうすぐ1年ほど経過しますが、今のところ再発もなく経過は順調です。
今回のように「痒いんだったらとりあえずアポキルを出そう!」っていう先生は結構増えてきています。しっかり診断をつけてからでないと、いい薬も効果を発揮できません。皮膚科になると何故か検査をすっ飛ばしてしまう先生がいますが、必ず検査をしてもらってから治療に入るようにしましょう!
当院では膿皮症だけでなく、年間数百症例にのぼる様々な皮膚疾患を診察、診断しています。そのため、通常の治療で良くならない皮膚病でも違った角度から治療プランを立て直すこともできますので、慢性的なわんちゃん、猫ちゃんの皮膚病でお困りの飼い主様は、一度ご相談いただければと思います。