トイプードルの脂漏性皮膚炎
2023.3.9【症例】
トイプードル、11歳齢、去勢オス
【症状・経過】
10歳になった頃から全身のフケが異常なほど増えるようになり、痒みも増してきてしまった。ステロイドや抗生剤、抗真菌剤の内服をおこなってきたが、改善は見られなかった。
寝ている時以外は常に体のどこかを掻いているくらい、かゆみが強くなってしまった。
写真では体全体の毛が短くなり、その部分に大量のフケが出ていることがわかります。通常、四肢やお腹にこういった症状が出ることはありますが、この子の場合は胸や背中まで同じような状況になっていました。
【診断】
脂漏性皮膚炎
【治療】
今回の症例は犬種やフケを主体とする皮膚炎などから脂漏性皮膚炎と診断し、治療を開始しました。
フケの量がすごかったため通常の治療よりもシャンプーの回数を増やしていただきました。また、慢性的な炎症による皮膚の肥厚が重度だったため、サプリメントに加えて治療初期から免疫抑制剤を併用していただくようにしました。
治療開始後、4ヶ月で以下のような変化が見られました。
治療を始めて1ヶ月後にはフケの量はかなり減少していました。2ヶ月が経過した頃には毛がどんどん増えてきて、治療開始から4ヶ月が経った頃にはほとんど元通りの状態まで毛が生え揃いました。もともとがかなり重症だったので、ちょっとシャンプーの間隔が空いてしまうと細菌やマラセチアが増殖してしまうこともありますが、部分的なスキンケアを行うことで状態を維持できています。
皮膚病の治療は「改善させる期間」と「状態を維持する期間」に分かれます。状態を維持する期間を長くできなければ、結局元の状態に戻ってしまいますから治療効果や副作用、費用のバランスも考えて継続できる治療をご提案しています。
当院では脂漏性皮膚炎だけでなく、年間数百症例にのぼる様々な皮膚疾患を診察、診断しています。そのため、通常の治療で良くならない皮膚病でも違った角度から治療プランを立て直すこともできますので、慢性的なわんちゃん、猫ちゃんの皮膚病でお困りの飼い主様は、一度ご相談いただければと思います。