【症例】

柴犬、9歳齢、メス

【症状・経過】

当院受診の3年前から顔と耳を中心にして、痒みが出始めた。当院来院前に数件の動物病院を転院しており、アポキルやステロイドが処方されていたが、ほとんど効果が見られなかった。また非常に攻撃的な性格のため、病院に連れて行っても触ってもらうことができず、薬を処方してもらうだけだった。

写真では目と耳の周囲に脱毛と色素沈着、重度のごわつきが見られます。

【診断】

犬アトピー性皮膚炎

【治療】

今回の症例は高齢になってから皮膚の症状が出始めていたため、高齢から出る可能性のある食物アレルギーや脂漏性皮膚炎を念頭におきながら検査を進めました。これだけ見た目が重度でも皮膚の上の感染はほとんどありませんでした。ただし、耳については全くケアがされていなかったため、耳道はほとんど閉塞してしまい、奥を除くことができませんでした。
この子はご自宅での耳のケアは飼い主さんでも攻撃されてしまうとのことだったため、病院ではできる限りの耳の洗浄を行い、自宅では内服薬と食物アレルギーを意識したフードを与えていただくことになりました。

治療開始から２ヶ月経過した頃の姿がこちらです。

目も耳も劇的に改善し、毛は生え皮膚の色もピンク色に戻りつつあります。通常の治療と異なり、自宅でできる治療が内服薬とフードしかなかったため、改善してくれるかどうかは不明確なままでの治療スタートとなりました。ですが、病院でなんとか耳の洗浄を我慢してくれたおかげで耳の状態も改善し、痒みがない生活を取り戻すことができています。
当院では犬アトピー性皮膚炎だけでなく、年間数百症例にのぼる様々な皮膚疾患を診察、診断しています。そのため、通常の治療で良くならない皮膚病でも違った角度から治療プランを立て直すこともできますので、慢性的なわんちゃん、猫ちゃんの皮膚病でお困りの飼い主様は、一度ご相談いただければと思います。