case study病例集

【ブルドッグの皮膚石灰沈着症】

ブルドッグの皮膚石灰沈着症

2022.12.4
Before
; After

【症例】

ブルドッグ、11歳齢、避妊メス

【症状・経過】

当院受診の1年以上前から背中を中心にぼろぼろが出るようになった。かかりつけの病院ではステロイド剤や抗生剤、甲状腺ホルモン剤などが処方されているが改善はなく、どんどん悪化してきている。

写真では全身に厚みのあるカサブタが形成されていることが分かります。

【診断】

副腎皮質機能亢進症に起因する皮膚石灰沈着症

【治療】

今回の症例のように皮膚が硬くなっている場合、最も疑わしいのは皮膚石灰沈着症です。
皮膚石灰沈着症はカルシウム代謝の異常により、リン酸カルシウムが皮膚に付着することで発生します。犬では皮膚石灰沈着症になる原因は4つのパターンがあり、その中でもよく遭遇するのは以下の2パターンです。


グルココルチコイド(ステロイド)の長期投与
副腎皮質機能亢進症(クッシング症候群)による高グルココルチコイド血症

どちらも皮膚の石灰沈着以外に多飲多尿や対称性の脱毛、皮膚が薄くなるといった特徴を伴うことが多いため、知識があれば診断するのは容易かと思います。

今回の症例は皮膚の症状が悪化してきた後からステロイドを加えられているため、副腎皮質機能亢進症があるところにさらにステロイドを使用したことでダブルパンチとなり悪化させてしまったのではないかと推測しました。

今回のように皮膚の症状から内臓の病気が見つかることも多々あります。それぞれの疾患で特徴的な皮膚の病変を形成することがありますので、それらの特徴を掴んでおくと正確な診断に結び付けられます。

当院では皮膚石灰沈着症だけでなく、年間数百症例にのぼる様々な皮膚疾患を診察、診断しています。そのため、通常の治療で良くならない皮膚病でも違った角度から治療プランを立て直すこともできますので、慢性的なわんちゃん、猫ちゃんの皮膚病でお困りの飼い主様は、一度ご相談いただければと思います。

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