ポメラニアンの脂漏性皮膚炎
2022.9.11【症例】
ポメラニアン、8歳齢、去勢オス
【症状・経過】
幼少期からフケは多い子だったが、痒みはそれほどなかった。当院を受診する1年ほど前から痒みが悪化し、どんどん毛が抜けてきてしまった。以前の病院ではステロイドの内服やホルモン治療を行ったが、改善が見られなかった。
写真では顔、首、腹部、四肢に赤みや重度の脱毛、皮膚の肥厚が起こっています。
【診断】
脂漏性皮膚炎
【治療】
小さい頃から皮膚の上にフケが目立ったことから脂漏症が基礎にありそれが今回、脂漏性皮膚炎に悪化してしまったものと考えました。
皮膚の上には大量のマラセチアが増殖していましたが、クレンジングをメインとするスキンケアでマラセチアの数は減らすことができました。
痒みについては非常に強かったため、今回はステロイドの内服を併用しました。
ステロイドには皮脂腺を萎縮させて、皮脂の分泌を抑制する効果があるため、今回のような皮脂の過剰分泌が基礎にある場合には非常に有効です。またステロイドの量を減らすため、免疫抑制剤やサプリメントも併用していただくことになりました。
治療開始後、3ヶ月ほど経過した時の写真がこちらです。
顔や四肢を中心に皮膚の赤みがなくなり、毛が生えそろってきていますね!今回の治療では皮膚科に強い先生しか知らないような特殊な治療は行っていません。やはりこういった脂漏症の症例では、薬、サプリ、シャンプーの選び方、使い方によって差が出ることを感じました。
当院では脂漏性皮膚炎だけでなく、年間数百症例にのぼる様々な皮膚疾患を診察、診断しています。そのため、通常の治療で良くならない皮膚病でも違った角度から治療プランを立て直すこともできますので、慢性的なわんちゃん、猫ちゃんの皮膚病でお困りの飼い主様は、一度ご相談いただければと思います。