case study病例集

【ミニチュアピンシャーの再発性膿皮症】

ミニチュアピンシャーの再発性膿皮症

2022.12.5
Before
After

【診断】

ミニチュアピンシャー、9歳齢、メス

【治療】

当院受診の1年前から膿皮症を繰り返しており、数種類の抗生剤を使用してきた。内服中は症状が改善するが、内服が終了してしばらくすると同じような湿疹が出てきてしまう。

写真では背中から腰にかけて、円形の虫食い状の脱毛が目立ちます。

【診断】

膿皮症

【治療】

当院の検査でも皮膚の上でブドウ球菌が増殖していることがわかったため、診断名は膿皮症で間違いありませんでした。ただ、今回のように高齢になってから膿皮症を発症し、さらに再発を繰り返してしまう場合は、皮膚疾患以外にも基礎となる疾患が存在している可能性を検討しないといけません。

再発性膿皮症の原因としては、以下のようなものがあります。
・犬種(遺伝的要因)
・年齢(若齢もしくは高齢)
・アレルギー性疾患
・多汗症、脂漏症
・内分泌疾患(ホルモン異常)
・内臓の悪性腫瘍
・薬剤の影響(ステロイド、免疫抑制剤、抗がん剤など)
・高温多湿環境下での飼育
・外傷
・スキンケアの間違い
・栄養状態の悪化(飢餓状態)

今回は血液検査と画像検査も行い、内分泌疾患と腫瘍の関与の可能性は低いと判断しました。また当院で行った薬剤感受性試験では多数の抗生剤に耐性が出ており、抗生剤での治療が非常に難航することが考えられました。

明らかな基礎疾患が見当たらなかったため、高齢になったことにより皮膚の免疫が低下したことが影響していると考え、スキンケアの強化とフードの変更を行いました。

治療開始から3ヶ月経過した頃の姿がこちらです。

目立っていた脱毛はなくなり、きれいな毛並みが戻ってきました!
抗生剤を使用しなくても、スキンケアと食事を変更することでここまでの治療効果が期待できる場合もあります。

当院では再発性膿皮症だけでなく、年間数百症例にのぼる様々な皮膚疾患を診察、診断しています。そのため、通常の治療で良くならない皮膚病でも違った角度から治療プランを立て直すこともできますので、慢性的なわんちゃん、猫ちゃんの皮膚病でお困りの飼い主様は、一度ご相談いただければと思います。

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