case study病例集

【ポメラニアンの毛周期停止】

ポメラニアンの毛周期停止

2022.12.5
Before
After

【症例】

ポメラニアン、6歳齢、去勢オス

【症状・経過】

1歳くらいから体の脱毛が進行し、毛並みが悪くなってきていた。かかりつけではサプリメントを処方してもらい、治療をおこなっていたが改善する様子がなかった。

写真では背中を中心に毛量が減少し、もともとは茶色だった毛が黒い部分も目立つようになってきています。

【診断】

毛周期停止

【治療】

この症例は発症が1歳と非常に若い頃であったことや、その他の体調には変化が見られなかったことから毛周期停止を第一に疑いました。
同様の症状を示す皮膚疾患として内分泌疾患があるため、除外検査として血液検査と皮膚病理検査を行い、「毛周期停止」と確定診断しました。
当院での診断前にサプリメントが使用されており、確かに毛周期停止にも使用されるサプリメントだったため、その治療には反応していないと判断しました。
毛周期停止の治療には「薬」を使った治療と「サプリメント」を使った治療がありますが、やはり薬を使った治療の方が文献上での改善率はいいように思います。ただし、薬ですから副作用が出ることも考慮して使っていく必要はあります。
今回はより確立の高い治療をしたいとのご希望がありましたので、お薬を使った治療から始めることになりました。

治療開始後、6ヶ月経過した頃の写真がこちらです。

明らかに毛量が増加し、黒色が目立っていた部分も元通りの綺麗なクリーム色になりました。

毛周期停止はたくさんの治療法が紹介されていますが、これを使えば絶対生える!という治療は確立されていません。さまざまな治療法を組み合わせてその子にあったものを探していくのですが、一般的に一つの治療を試す期間は3〜6ヶ月ほどかかります。そのため、一つ目の治療で当たればいいですが、改善までに数年かけてようやく毛が生えることも珍しくありません。
毛周期停止はワンちゃんの体調に影響を与える疾患ではないため、すぐに結果を求めず、長い目で治療に取り組んでいただけるといいかと思います。
当院では毛周期停止だけでなく、年間数百症例にのぼる様々な皮膚疾患を診察、診断しています。そのため、通常の治療で良くならない皮膚病でも違った角度から治療プランを立て直すこともできますので、慢性的なわんちゃん、猫ちゃんの皮膚病でお困りの飼い主様は、一度ご相談いただければと思います。

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