case study病例集

【ポメラニアンの甲状腺機能低下症】

ポメラニアンの甲状腺機能低下症

2022.12.4
Before
After

【症例】

ポメラニアン、7歳齢、去勢オス

【症状・経過】

当院受診の1年前から首や体の毛が薄くなってきており、皮膚が黒ずんできていた。

かかりつけの病院では毛周期停止と診断されサプリメントを使用していたが、改善はなかった。写真では背中から後ろ足にかけて、毛量が減っていることが分かります。

【診断】

甲状腺機能低下症

【治療】

他院で診断を受けていた毛周期停止ですが、脱毛のメカニズムは毛の成長周期が「休止期」という段階で止まってしまうことにあります。これを「休止期脱毛状態」と言います。
休止期脱毛状態になる皮膚病は以下のようなものがあります。
・ホルモン異常(甲状腺機能低下症、副腎皮質機能亢進症、性ホルモン失調症)
・毛周期停止
・剃毛後脱毛症
・身体ストレス(高熱、妊娠、外科手術、薬物など)
これらの原因を検査や問診から除外していく必要があります。

今回は一旦全ての疾患をしっかり検査し直すために血液検査と画像診断をやり直すことになりました。その結果、甲状腺ホルモン濃度が低下していたため甲状腺機能低下症を疑い、治療を行ってみることになりました。

甲状腺機能低下症の治療は足りないホルモンを内服薬で補充します。今回は毛を伸ばす必要があるため、甲状腺ホルモン剤の他に皮膚の栄養価を高めるサプリメントを併用していただきました。

治療を開始してから、4ヶ月経過した頃の写真がこちらです。

毛の量が増えて、色も濃くなってきましたね!

ポメラニアン=毛周期停止と決めてしまうのではなく、しっかりとした検査・診断を元に治療プランを立ててもらうようにしましょう。
当院では甲状腺機能低下症だけでなく、年間数百症例にのぼる様々な皮膚疾患を診察、診断しています。そのため、通常の治療で良くならない皮膚病でも違った角度から治療プランを立て直すこともできますので、慢性的なわんちゃん、猫ちゃんの皮膚病でお困りの飼い主様は、一度ご相談いただければと思います。

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