フレンチブルドッグの犬アトピー性皮膚炎
2022.12.5

【症例】
フレンチブルドッグ、14歳齢、メス
【症状・経過】
当院受診の数年前から顔と足先を中心にして、痒みが出始めた。かかりつけの病院ではステロイドを処方されるもののあまり効果はなく、痒みによって顔を擦り付けるため常に出血している状態。
写真では顔と足先に重度の皮膚炎があり、脱毛してしまっていることがわかります。




【診断】
犬アトピー性皮膚炎
【治療】
今回の症例は治療歴がかなり長く、何歳からの発症かがはっきりと聴取することができませんでした。ただ外耳炎は1歳から繰り返しているとのことでした。
外耳炎の発症要因の2トップは犬アトピー性皮膚炎と食物アレルギーです。今回もこれらの疾患が基礎としてある可能性を念頭におき、検査を行いました。すでに食物アレルギーに配慮したフードを食べていましたが、おやつもかなりの種類を与えていたため、まずはおやつの給与を中止していただき、その後フードを変更していきました。その結果、食事の変更では投薬の有無に関わらず、皮膚症状の改善が見られなかったため食事の関与はなしと判断し、根底にあるのは犬アトピー性皮膚炎と診断しました。
また皮膚のシワの部分に大量の細菌が繁殖しており、二次的に痒みが増悪している可能性が高かったため、シャンプーと毎日の清掃で細菌を除去し繁殖を抑えてもらうようにしました。
治療開始から3ヶ月経過した頃の姿がこちらです。




元々の状態がかなりひどかったので完全には毛が生え揃っていませんが、皮膚の赤みは少なくなり皮膚のごわつきもかなり改善しています。この状態までくると痒みはほとんどない生活を送ることが可能です。
この子の治療は
・お薬の投薬
・サプリメントの投薬
・毎日の塗り薬
・毎週のシャンプー
とかなり様々な治療を組み合わせています。皮膚病変の重症度が上がるほどやらなければならないことも増えてしまいますので、症状が軽いうちに治療が開始できるようにしましょう!
当院では犬アトピー性皮膚炎だけでなく、年間数百症例にのぼる様々な皮膚疾患を診察、診断しています。そのため、通常の治療で良くならない皮膚病でも違った角度から治療プランを立て直すこともできますので、慢性的なわんちゃん、猫ちゃんの皮膚病でお困りの飼い主様は、一度ご相談いただければと思います。